役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング#14Photo:Photolibrary

裁判所は行政機関、立法機関に並ぶ三権分立の要。司法試験に合格した裁判官は、退官後は弁護士になるケースも多く、上場企業の社外取締役に就いているOB・OGは49人いた。特集『役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング』(全16回)の#14は、裁判官出身者のランキングを公開する。役員報酬額で1000万円を超えるのが13人。トップは3410万円だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

裁判官出身の社外取締役は49人
OB・OG社外取の推計報酬額を一挙公開

 裁判所は行政機関、立法機関に並ぶ国家の要である。戦前は司法省の管轄下にあったが、戦後に三権分立が確立して、裁判官の地位は飛躍的に上がった。

 裁判官になるには、司法試験に受かるだけでは不十分だ。合格者の中でも成績が上位で、なおかつ司法修習中の卒業試験などでも良い成績を修め、教官から高く評価される必要がある。

 ちなみに、裁判官のトップである最高裁判所長官の年収は約4000万円。これは内閣総理大臣と同水準の待遇だ。

 ただ、若い頃の年収はそこまで高くはない。見習い裁判官の判事補1年目だと500万~600万円。これは大手法律事務所の半分程度である。

 また、裁判官として出世するには、最高裁事務総局からにらまれないようにしなければならない。3~4年ごとの異動で僻地に飛ばされたり、10年ごとの再任時に再任を拒否されたりする可能性があるからだ。

 人事権をちらつかせた統制・管理が案外厳しく、実は裁判所は、中央省庁以上に官僚的な風土と評されることがままある。

 こういった事情から近年、採用時に裁判官を辞退し、大手法律事務所を選ぶ動きが強まっている。判事補時代に裁判所に見切りを付け、弁護士に転身する者も目立つようになっている――。

 さて、今回は裁判官OB・OGを取り上げる。社外取締役に就いている人物は49人いた。このうち47人が退官後に弁護士登録をしていた。

 ダイヤモンド編集部は、裁判官OB・OGの社外取が受け取っている総報酬額を独自に試算。役員報酬額1000万円以上は13人で、首位となった女性の元東京地方裁判所判事補の金額は3410万円に達した。

 それでは次ページで、詳細を見ていこう。ランキングの中で、再就職先の「社名」や「兼務社数」「推計報酬額の合計」といった項目を見ていけば、社外取としての働きぶりが待遇に見合うものかどうかがチェック可能だ。

 また、名古屋高等裁判所長官や東京地裁所長、最高裁判事などの「役人時代の主なポスト」は報酬額と強い関係があり、必見の内容だ。