「心から分かり合える人とめぐり合いたい」
ビジネスでもプライベートでも、そんな人も多いのではないだろうか。
本連載では、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏が、悩まない人になるコツを紹介する。
いま「現実のビジネス現場において“根拠なきポジティブ”はただの現実逃避、“鋼のメンタル”とはただの鈍感人間。ビジネス現場での悩み解消法は『思考アルゴリズム』だ」と言い切る木下氏の最新刊『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
「心から分かり合える人がほしい」の裏側にある意外な本音とは何だろう。
その本音に気づくことで、人間関係はどう変化していくのか。
本稿では、木下氏ならではの視点で人間関係の悩みを解決するヒントをお届けする。(構成/照宮遼子)

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「分かり合える相棒」は幻想

 悩みは、多くの場合、「思い込み」から発生しているので、それを解消していくことから始まります。

 今回の場合、思い込みとしてあるのが「(ビジネスでもプライベートでも)心から分かり合える相棒がほしい」という点です。

 口ではそう言いつつ、実際に心の中で思っているのは、「私のことを分かってくれる相棒がほしい」ではないでしょうか。

「分かり“合える”」という言葉を使っておきながら、「自分を分かってくれる人がいない」ことを問題にしています。
 自分のことを一方的に分かってほしいというのは少し乱暴ですよね。
 そうではなく、あなた自身がまず相手を「分かる」ことがスタートです。

 相手のことを理解する力が上がっていくと、100%分かり合えることは無理だと気づきます。

 ですから、100%分かってくれる人を探している時点で、実は相手のことを理解したことがない人なのかもしれません。
 まずは相手を理解し、相手とうまくやっていく能力を身につけていきましょう。

相手を理解することで、深まる人間関係

 相手のことを理解する能力が身についてくると、100%理解することは無理でも、70%くらいは理解できることが分かってきます。

 たとえば、ここに10人いたら、まずはこの10人の70%を理解できるようになりましょう。

 そうすると、その10人の中から、自分のことを分かってくれる人が出てきます。

 こちらが理解するから、向こうも分かってくれるという構図です。

 なんだか小学生の恋愛相談みたいですが、小学校の頃は、クラスで目立つ子やかわいい子など、だいたい同じ子を好きになることが多いと思います。
 でも、みんなに好かれる子は相手を1人しか選ぶことができません。
よって大半は失恋することになります。
 ですから、私は小学生の頃、どうして大人になるとみんなうまい具合にお互い好き同士な組み合わせになって結婚できるんだろうと不思議に思っていました。

 小学生の頃はこちらから一方的な恋心を抱きますが、大人になると、相手に好きになってもらう努力をするようになる。だからこそ、互いにおつき合いできるようになる。ですから、小学生の恋愛を抜け出すには、あなたのまわりの人を少しずつ理解するところから始めてみましょう。

言葉と行動のギャップから見えてくる本音

 口では「心から分かり合える相棒がほしい」「プライベートでリスペクトできるパートナーがほしい」と言っていても自分から動かない人もいますが、これはレベルの違いによるものです。

 努力せずにいつかパートナーができたらいいなと思っている人と、パートナーをつくるために日々努力をしている人は、両者とも「パートナーがほしい」という悩みになります。

 ただ願望を口で言っているだけなのか、具体的な目標を掲げて行動しているのか、そのレベル感の違いですね。

 以前、「次はこんな役職に就きたい」と言っていた社員のために丁寧に指導したものの、逆に引かれてしまったことがありました。

 結局、今の自分のままで役職と給料が上がったらいいなと思っているだけの人と、この役職になるためにどんな努力を惜しまない人に分かれていくのです。

 なかなか悩みから抜け出せないと思っていても、それはただの願望であるだけなのかもしれません。
 ですから、その悩みが解消すべきものなのかどうか、まずは見極めるのが大切だと思います。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による特別投稿です)