ちなみにお金を貯める、あるいは増やす方法は、以下の4つしかない。

(1)「稼ぐ力を伸ばす」
(2)「コスト削減」
(3)「長く働く」
(4)「お金を働かせる」

投資を通じて世の中の動きを知り
真の金融リテラシーを獲得しよう

 この4つどれもがきわめて大切だが、君たち若者にとってもっとも大切なのは、(1)の「稼ぐ力を伸ばす」だろう。私は「生み出す力」と表現することもある。だがこれは、一朝一夕に身につくというものでもない。

(2)の「コスト削減」も大切で、特に投資の原資づくりには欠かせない。ただし君たちのような若者の場合、今は(3)の「長く働く」は考えるべきではない。労働時間の短縮が世の流れだし、就労期間延長が視野に入ってくる定年ははるか先。さらには副業を持って長時間働くよりも本業に専念するほうが、もっとも大切な(1)「稼ぐ(生み出す)力を伸ばす」ために、正しい姿勢であるからだ。

 そうなると、前述のとおり(4)の「お金を働かせる」すなわち投資が、これから日本人にとってとても重要な選択肢になる。

 投資を始める上で、投資先として投資信託を選ぶ者も、自分で選んだ企業の株式に投資する個別投資を選ぶ者も、あるいは金投資など、数ある投資の中からどれを選んだとしても、きっと知人に話を聞いたり、あれこれ調べたりもするだろう。動いていくうちに少しずつ理解も深まり、これまで聞き流していたニュースの内容も耳に残るようになるはずだ。さらに興味がわけば、日本経済から果てはインド経済の行く末まで調べてみたくなるかもしれない。新しい発見があるたびに、新しい疑問が生まれてくるに違いない。それがまた次の行動を生んでいく。

 投資に向けて行動を起こすことで世の中の動きに敏感になり、敏感になることで社会に対する知識が雪だるま式に増えていく。こうした循環は実際に行動し、投資を「他人事」でなく、「自分事」にして初めて生まれる。投資とは、そうした視野を広げる機会を買うことでもあるのだ。

 つまりは目標を設定して行動を起こすことこそが、「真の金融リテラシーを身につける」ことそのものであり、いくら学校に通っても、本当の金融リテラシーは行動抜きに身につけることなど決してできないものなのだ。