運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

【医者が教える】夜中、目が覚める人はやってみて。寝つきが悪く、眠りが浅い人におすすめの意外な習慣
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毎日よく眠れていますか?

 厚生労働省の調査では心の病気で病院にかかっている人は全国で420万人。

 これは日本人の30人に1人に相当します。

 病院には行かずとも「プチ不安」を抱える人はさらに多く、「一生のうちに4人に1人が心の病気にかかる」と言われると他人事ではありません。

メタボだけが病気の芽じゃない

 ウォーキングが肥満や病気を遠ざけることは、エビデンスが多く発表されています。

 メタボなどの肥満や生活習慣病のような「病気の芽」のある方は、歩くことで早めにこの芽をつみとることが肝心です。

 ただ「病気の芽」って、これだけでしょうか?

「眠れない」のも病気の芽


・病気ではないけれど体が重い
・だるい
・理由もなく不安
・口うるさい上司がいてストレスがたまる
・なんとなくやる気が出ない
・寝つきが悪く、眠りが浅い
・頭痛がする
・肩がこる
・冷える
・食べすぎ飲みすぎになる
・胃が痛む
・腸の調子が悪くなる(便秘・下痢)

 

 こうしたメンタルを根とした症状も「病気の芽」になりがちです。

 体に現れた病気の芽が育つと、本当の病気になってしまいます。

「うつ」など心の病気はもちろん、ストレスから「がん」になることもありえます(※1)。

 しかもメンタルは根本的治療薬がなく抗不安薬は対症療法と言えるものです。

 だからこそ心がくたびれ過ぎないように、まめにケアすることが重要です。

ウォーキングは「心」に効き、睡眠レベルを改善させる

 実はうつ病にウォーキングが効くことが科学的に証明されています。

 ブラジルのゴイアス連邦大学の研究(※2)によると、慢性不眠症で運動不足の患者21人が4ヵ月間ウォーキングを実施したところ、睡眠レベルと抑うつ症状が改善し、「ストレスホルモン」と言われるコルチゾールが減少したことがわかりました。

 ウォーキングをして「ストレスホルモン」が減ると、睡眠時間が増えることでストレスがさらに減る─そんな好循環が起こったのだと思います。

※歩き方には「コツ」があります。お時間のある方は、本も参照してみてください。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。

【参考文献】
※1 Song H, et al.  Perceived stress level and risk of cancer incidence in a Japanese population: the Japan Public Health Center (JPHC)-based Prospective Study.  Sci Rep. 2017 Oct 11;7(1):12964. doi: 10.1038/s41598-017-13362-8.

※2 Passos GS, et al.  Exercise improves immune function, antidepressive response, and sleep quality in patients with chronic primary insomnia.

Biomed Res Int. 2014;2014:498961.doi: 10.1155/2014/498961. Epub 2014 Sep 21.