豆腐店の大半が小規模事業者
コスト増により厳しい状況に

 国内の豆腐製造・販売業者を対象に調査したところ、「豆腐店」市場(事業者売上高ベース)は約3000億円規模で推移していることが分かった。市場は2016年度をピークに年々減少を続けているが、減少ペースはコロナ禍の20年度以降は小幅にとどまっている。「低脂質・高たんぱく」といった健康食品としての新たな付加価値創出により、「プロテインバーなど新タイプの豆腐製品が好調」といった理由から近年増収に転じた豆腐店もみられた。

 帝国データバンクが保有する企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)によれば、「豆腐・油揚げ製造」を主業とする事業者は全国に1400社を超える。このうち、年売上高10億円以上の事業者は50社にとどまり、同100億円以上ではわずか5社(構成比0.4%)にとどまる。このように、全国各地に存在する豆腐店の多くは小規模事業者が占めており、コロナ禍前からそもそも企業体力に乏しい状態が続いていた。

 豆腐店の経営は、豆腐づくりのコスト増と価格転嫁の難しさのはざまで、厳しい状況が続いている。実際に、豆腐店を含む「飲食料品小売」の最新の価格転嫁率(=自社の主な商品・サービスにおいて、コスト上昇分を販売価格やサービス料金にどのぐらい転嫁できているかの割合)は40.9%にとどまり、全業種平均(44.9%)を下回っている。