企業がデジタル給与を導入するには
労使協定を結ぶことから始まる
まず、給与のデジタル払いを導入するにあたっては、企業は従業員の代表と話し合い、労使協定を締結する必要があります。さらに、デジタル払いを希望する従業員から個別の同意を得る必要もあります。そのため、希望しない従業員に対して強制することはできません。
一方で、従業員がデジタル払いを希望していたとしても、当の企業が導入していなければ、デジタルマネーでの受け取りはできません。
ある外資系企業では23年4月の解禁時に、全従業員に対し、給与のデジタル払いについてのアンケート調査を実施しました。その結果、約7割の従業員が「導入を希望する」と回答。理由として、「日常の買い物や公共料金の支払いにキャッシュレス決済を利用しているため便利になる」といったものや、外国籍の従業員が多い中、「外国人は銀行口座の開設に制約があり、とても困っていたので、デジタルマネーで給与を受け取れるのはすごくいい」といった声が寄せられました。
こうして同社では、給与のデジタル払い導入の方針を決定しました。従業員との話し合いを行ない、導入に向けた準備を進めています。
なお、9月からソフトバンクグループ各社の従業員を対象にPayPayで給与のデジタル払いが始まります。そして年内には、PayPayの全ユーザーに給与のデジタル払いが可能になる予定です。
8月末時点はまだソフトバンクグループだけですが、導入企業の事例が広く知られれば、デジタル払いの波に乗る会社が急増する可能性は大いにあります。