特に腎臓系の病気のなかでも尿道炎や膀胱炎(ぼうこうえん)などの尿路に関する感染症の場合は、通常、腎臓のルートで排泄される抗生剤をチョイスします。腎臓のルートであれば、抗生剤が腎臓でろ過されて尿路から排泄されます。つまり、抗生剤の効力を持ったまま尿に出ていくと、その効力が尿路や膀胱にも届くわけです。そのため、目的とする場所で効果が速やかに発揮されます。これが肝臓のルートで代謝される抗生剤になると、目的地には遠回り、あるいは届かないということになってしまいます。

 同時に、腎臓のルートの抗生剤は効力を発揮したあと、不要な成分も同じように腎臓を介してろ過されて排泄されます。その成分自体が悪いわけではない場合でも、それが腎臓に負担となる可能性があるのです。万が一、そこに異物が混入していた場合も然(しか)りです。

 このように、排泄経路には、薬効としていい形で関係しうるというよい面と、副作用にも関係しうるという悪い面があることになります。

 なお、どんな薬やサプリメントでも、過剰に摂取すれば腎機能障害を起こすことはありますし、適量でもアレルギー反応などにより腎機能障害を起こすこともあります。

 腎臓の問題は、健康診断などで腎臓の数値が悪いなど、腎臓病のリスクを抱えている人だけにあるわけではありません。

 特に加齢とともに腎機能や肝機能は低下し、代謝能力も低下していくため、注意が必要です。

 健康のために十分な栄養を摂るなど、体に「入れるもの」を意識することも大切ですが、同時に「何を入れないか」、そして「出すこと」も意識する必要があります。そのためには、肝臓だけでなく、腎臓もいたわり、長持ちさせることを意識してほしいと思っています。

ウォーキングで腎臓機能が改善!

「健康診断で何も指摘されていないから大丈夫」というわけではありません。実は腎臓は、加齢とともにある程度機能が低下していくことは避けられません。生活習慣が乱れている人の場合、なおさら腎機能が低下する可能性が高まります。

 しかし、腎臓を守る方法はあります。ヒントは血管、なかでも「毛細血管」にあります。

 実は腎臓の中枢でもある糸球体(しきゅうたい)という部位は、毛細血管のかたまりといわれるほど、たくさんの毛細血管が集まってできています。ということは、毛細血管の状態をよくすることが、腎臓の機能を保つことにつながるのです。