もし、3つが投資先の分類なのであれば、図表2-8のような構成で具体的な投資内容を示すことで、資料の納得度が上がるはずだ。

図表2-8同書より転載 拡大画像表示

証拠の矢印が
混乱している資料

 先ほど大きな矢印でごまかす資料を紹介したが、矢印でごまかす方法は他にもある。多くの人はこの手法を、おそらく無意識に使うことで、自分の論理の穴に目をつむっている。例えば、人が離職をする理由を分析したこんな資料がある(図表2-9)。

図表2-9同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:YES

 離職者数が増えている原因を明らかにしたいことが明示されている。

診断項目(2)結論が書かれているか?:YES

 残業時間が多いことが離職の原因だという結論が書かれている。

診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO

 一見、原因・結果が整理されているように見せかけているが、線があちらこちらに行き交っていて、因果関係を読み取ることができない。離職増加には2本矢印が伸びていて、残業が増えていることと、給料が増えていないことの両方が、離職増加の直接的原因にも見える。もしそうだとすると、結論と根拠の主張が合致していない。