結論に書いてある
言葉が抽象的な資料

 しっかりと整理軸を結論に合わせて提示し、具体化するのが面倒になってくると、雰囲気だけを伝えたくなる。コンセプチュアルな絵や写真だけでプレゼンをする場合は、スティーブ・ジョブズのような聴衆を惹きつける1対大人数のプレゼンの場合はよいが、ビジネスの認識合わせには不完全な場合も多い。

 改めて先ほどのDXイノベーションの資料を見てみよう(既述なので目的と結論の診断は省略)。上に丸が3つ並んでいて、下部には投資総額が書いてあることは分かる。

 少なくとも結論が示唆しているのは、DX関連の施策に一定金額の投資をするということだ。しかし、具体的に何を指しているかがとても曖昧だ。

図表2-5同書より転載 拡大画像表示

 綺麗に並べられてはいるが、一体何について整理されているのか、縦横の整理軸がないことで、読み手を混乱させる。

 例えば、同じ列に並んでいる3つの丸の中に書かれている内容は、論理の階層が合っていない。特に真ん中の「総務・経理業務の一新」と、右の「総務・経理業務の自動化できる業務をクラウドサービスに集約」するという話は、前者が抽象的なまとめの説明で、後者がその具体例のようにも見える。