「エリート採用」だけに用意されるキャリアの正体

「エリート採用」である東大・京大出身の銀行員の2度目の異動先の多くは、官公庁か本部の企画系の部署を占めている。

しかしこのような異動先は基本的には本人が希望しているものではない。そもそも、官公庁に出向するなんてキャリアは人事部から異動の選択肢として公に提示されていることはなく、もちろん就活のセミナーでも紹介されることもない。僕は銀行に入るまでそんなキャリアは存在すら知らなかったほどだ。

ソルジャー採用が「転職」をチラつかせても無意味な理由

 官公庁への出向のメリットは、出向中の人事評価が守られることもポイントだ。お勉強目的の出向のため、営業目標はないし、銀行側から何かを求められることもない。加えて官公庁から戻ってきた後は、本部の企画系部署に異動するか、本人の強く希望する部署があればそこにほぼ100%異動することができる。数万人が働くメガバンクでどこでも好きな部署に異動できることがいかに凄いかは想像に難くないだろう。

 一方で、ソルジャー採用はどうだろうか。僕もソルジャー採用の銀行員の一人だが、ソルジャー採用の銀行員は人事から見たらエリート採用と「その他大勢」と言うくくりでしか見られていない。したがって、僕たちソルジャー採用が精神を病もうが転職をチラつかせようが、何の意味も持たない。

そんなソルジャー採用が社内で生き残るために必要なスキルは「どう、エリート採用の枠に食い込んでいくか」だ。つまり、社内で自分の評価をできるだけ上げて、自分が「使える人材」であることをアピールする必要があるのである。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の特別な書き下ろし原稿です)

著者:最短出世中・現役エリートメガバンクブロガー たこす
本部公認で副業としてブログを運営する、年収1400万円の現役メガバンク行員。10年以上メガバンクという極限の環境で生き残り、最短で出世街道を歩んでいる。新卒で配属された支店で猛烈なパワハラ上司に理不尽に詰められ続ける過酷な労働環境の中、理系的な分析手法によって独自の「高コスパな仕事術」を編み出す。証券会社に出向して花形の投資銀行業務に携わった後、銀行に戻って上場企業を中心とした大企業営業を経験。現在も本部勤務を続けている。