特集『高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図』(全19回)の#7では来期以降も増益が見込まれる銘柄から、継続して株主還元を強化してきた銘柄をリストアップ。東証改革ではPBR1倍割れ銘柄が脚光を浴びたが、株主還元「優等生」の安定感にも注目すべきだろう。実際、ランキングに登場する銘柄は日本を代表する優良企業が目立つ。業績の突然の失速がない限り、今後も高水準の株主還元が期待できるはずだ。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
業績堅調で総還元性向が高い
株主還元「優等生」銘柄を狙う
東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営」を要請したことで一躍脚光を浴びたのが、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている企業だ。今まで株主還元に意欲を見せなかった「劣等生」が、東証からのプレッシャーで変化することを期待したわけだ。
実際、その効果は出ているが、忘れてはいけないのは「要請以前」から株主還元に積極的だった「優等生」の存在である。アベノミクス以降、日本の上場企業にも資本コストを意識して、株主価値向上のために増配や自社株買いを実施してきた企業が増加しているのだ。
近年、特に注目されているのが「総還元性向」である。総還元性向とは、配当金と自社株買いの金額を合計し、これを当期純利益で割って算出する。稼いだ利益から、株主に還元する比率といっていいだろう。
とはいえ、シンプルなスクリーニングでは企業の株主還元への本気度は分からない。そこでクオンツ分析に詳しい智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジストが選定したのが「総還元性向が改善中で3期先まで増益予想」の銘柄群だ。
簡単に言い換えると、株主への還元に積極的で、今後も業績が伸びることで継続して高水準の株主還元が期待できる銘柄である。もちろん、業績の拡大や株主還元が市場に評価されれば株価の上昇も期待できる。
次ページでは、地道に株主還元を増やしてきた優等生銘柄を一挙紹介。業績が堅調で、さらなる株主還元が期待できる日本を代表する優良企業も多く登場する。新NISA(少額投資非課税制度)で投資デビューした初心者もぜひチェックしてほしい。