「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、この夏『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。今回は出版を記念して本文の一部を抜粋・再編集してお届けします。

親子Photo: Adobe Stock

親がはっきりしない態度を取る

「どうしたいの? はっきりしてよ」。きっと、親がモゴモゴと煮え切らない態度を取っている場面で頻繁に使われる言葉です。

 現役世代である皆さんは、日頃バリバリ仕事をしているわけですから、そこでの意識決定スピードに比べると「言いたいことははっきり言ってよ」と思うのは当然です。

 しかし、この言葉は「なにか言え」もしくは「反応しろ」という自分目線のメッセージです。たとえ、声のトーンが穏やかで、ゆっくり丁寧に伝えたとしても、言葉のもつ意味としてはそうなります。

 親の言いたいことがわからず、困ってしまったとしても、自分の都合で話を進めようとする限り、事態はこじれるばかりです。「はっきりしてよ」は「YESかNOか、白黒つけてよ」ということですから、言われた親はプレッシャーを感じてしまうのです。