「社内ルールに沿っていない資料」どう対処する?

 僕が経験した銀行のルールの一つに「お客さん向けの書類はカラープリンタ、社内向けの書類は白黒プリンタ」と言うものがあります。これはカラーだと印刷コストが高いだけでなく環境負荷が大きいということに起因しています。ですので、社内の会議等で「カラー印刷」を使うことは御法度になります。

 ではここで1つ考えてみてください。

・あなたはいま社内向けの大規模な会議の準備をしています。
・そこで、資料を100部印刷する必要があります。
・しかし、印刷の設定を誤って、「カラー」で社内用の資料を100部刷ってしまいました。

※ただし、この100部はカラーで印刷されていること意外、特に不備はないものとします。

 社内資料をカラーで印刷するのは、ルール上はNGです。しかし、すでに印刷済みの100部の資料は目の前にるので、これを配れば会議は問題なく進められます。

 さて、どうしますか。

「減点される可能性」が一番低い策を選ぶ

 僕の考える正解は、「カラー全部捨てて、白黒で100部刷り直し、差し替える」です。

 きっとベンチャー企業や風通しの良い企業であれば、「間違えてカラーで刷ってしまいました」と言えば、「次からは気をつけよう」となって、特に問題視されることはないでしょう。

 しかし、銀行は「減点文化」です。銀行のようなJTC(=伝統的日系企業)で同様の発言をすると、周囲は「あぁ、ミスしたんだな」と間違いなく認識します。

 銀行で出世するのは、「減点されるような行動」を限界までしない人です。銀行には独自の「減点方式の文化」があります。特に、「加点法ではなく減点法」で出世が決まると言われる世界です。つまり、加点されるような前例のないことにチャレンジする意欲的な銀行員よりも、減点されるような行動を限界まで極小化する慎重な銀行員の方が出世していくというわけです。

 このように、白黒で印刷し直してカラー印刷したこと自体を隠蔽することが最善手になるのです。