正解:投資を避けたほうがよいのはQ社。
Q社の利益剰余金「▲40」は問題
利益剰余金は、創業以来の「成績表」です。
これまで、どれくらいしっかり利益を稼いできたか、稼いだ利益をどれだけ「内部留保」として会社に残してきたかがわかります。
会社が稼いだ税引後利益から、配当金、役員賞与など社外流出を差し引いて残ったものが、主に利益剰余金となります。
利益剰余金が▲40ということは、創業以来まともに黒字を稼いだことがなく、赤字続きで自己資本を減らしてきた会社であることがわかります。
Q社の資本金・資本剰余金は70もあります。主に株主から集めたお金がたっぷりあるのに、それを利益剰余金▲40で食いつぶして、自己資本比率が30%しかありません。
株主の期待を裏切ってきた会社であり、こういう会社には投資すべきでありません。
P社は、利益剰余金が「+18」でまずまずの水準
P社は、創業以来きちんと利益を稼ぎ、そこから「内部留保」をしっかり残してきたことがわかります。
P社はその他包括利益累計額が「+8」
バランスシート上に含み益があります。日本企業で多いのは次の2つです。
(1)その他有価証券評価差額金
主に、保有する持ち合い株式の評価益です。
1000円で買った株が1500円に値上がりしていれば含み益500円。売却しない限り、売却益とはなりません。
税効果を勘案した金額が、「その他包括利益累計額」に入り、自己資本の一部を構成します。
値下りして含み損となっている場合は、自己資本のマイナス要素となります。
(2)為替換算調整勘定
外貨(ドルなど)で購入した海外資産の為替調整額です。
円安(ドル高)が進めばプラス、円高(ドル安)が進めばマイナスになります。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)