個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。前作はチャート分析がテーマだったが、今作では企業の業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
チャートだけで投資判断できる銘柄は多くない
株式投資で成功するのに大切な武器は、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」です。
テクニカル分析の重要さは、前書『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』で解説しました。
保有銘柄の株価チャートに「強い売りシグナル」が出たら、どんな事情があろうといったん売るべきです。
どんなにファンダメンタルズが良いと信じている銘柄でも、強い売りシグナルが出たら、売って頭を冷やすべきです。
逆に、株価チャートに「強い買いシグナル」が出た銘柄は、黙って買うべきです。銘柄の好き嫌いが激しい人は、嫌いな銘柄に強い買いシグナルが出ても無視しますが、強いシグナルには素直に従うべきです。
とはいえ、見た瞬間に「売り!」「買い!」と確信できるシグナルが出ているチャートは、そんなにしょっちゅう見つかるものではありません。
ほとんどの株価チャートは、「やや強そう」「やや弱そう」「中立」のどれかです。
「やや強そう」「やや弱そう」という、あいまいなチャートで無理に売買していると、だましにひっかかりやすく、痛い目を見ることがあります。
ファンダメンタルズ分析で勝率を高める
そこで大切なのは、ファンダメンタルズを見ることです。
ファンダメンタルズ分析とは、個別企業の業績・財務・株価指標・ビジネスモデル・経済環境など分析し、その銘柄の「成長性」「割安性」を判断する手法です。
テクニカル分析であいまいなシグナルしか出ていない銘柄でも、ファンダメンタルズまで見ると、自信を持って「売り」「買い」の判断ができることがあります。
ファンダメンタルズをしっかり見ることで、勝率を高められます。
業績は好調だが、チャートが悪い場合は?
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、どのように使い分けたら良いでしょう?
テクニカル分析で「買い」、ファンダメンタルズ分析でも「買い」ならば、迷うことなく「買い」です。
テクニカルもファンダメンタルズも「売り」ならば、迷うことなく「売り」です。
ところが、現実には、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析が逆の判断になることがよくあります。
「業績は好調だけれど、チャートは悪い」とか、「業績はひどいけれど、チャートは良い」という銘柄に、よく出会います。
そういう時は、両方を総合的に勘案して判断します。
たとえば、ファンダメンタルズで「買い」、テクニカルで「やや弱そう」ならどうしましょう?
私がファンドマネジャー時代には、そういう銘柄は買わずに様子見しました。そして、テクニカルが中立または買いになった時に買い出動しました。
逆に、保有銘柄がファンダメンタルズで「売り」になったのに、テクニカルで「やや強そう」ならどうしましょう?
すぐに売らずに、タイミングを遅らせて少しずつ売っていくようにしました。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)