メールでも、会話でも、自分の主張を相手に納得してもらうためには、主張を「補強」する必要があります。
「いちばん売れた小論文の本」を大幅に増補改訂した新刊『落とされない小論文 増補改訂版』の著者、「ウェブ小論文塾」代表の今道琢也氏が、「相手が納得する文章に欠かせない3要素」について解説します。(構成・写真/ダイヤモンド社 今野良介)

文章も会話も同じ

小論文やエントリーシート、プレゼンテーションなど、「相手に自分の考えを納得してもらわなければいけない場面」があります。

そのような時は、「主張」「理由」「具体例」の3要素を意識すると良いです。この3つは、相手が納得感を得るために大切な要素だからです。

小論文に限らず、私たちは日常会話の中でも無意識にこの3要素を使っています。

例えば、友人に「最近、ランニングを始めたよ(=主張)」と言ったとしましょう。それだけ聞いただけでは、状況が何もわかりませんから、相手は納得感を得られません。

友人は当然、「なぜランニングを始めたの(=理由)」と聞くことでしょう。

それに対して「健康診断で運動不足を指摘されたから」などと答えたとします。すると相手は「なるほど、それでランニングをはじめたんだ」と少し納得します。

ただ、これだけではまだ状況がよくわかりません。友人はさらに「どれくらい走っているの(=具体例)」と聞いてくるのではないでしょうか。

それに対して「毎日30分くらい」などと答えたとします。

すると、相手は全体状況が分かったので、「それは良い習慣を始めたね」などと納得してくれるでしょう。

このように、日常の些細な会話の中でも、「主張」「理由」「具体例」の3要素が、人を納得させるために重要な役割を果たしているのです。

これは、小論文やエントリーシートの作成、プレゼンテーションなどでも同じです。

私たちは、何か言いたいことがあって、文章を書いたり、プレゼンテーションをしたりします。

その時、「まず言いたいこと(=主張)」を固めた上で、それを「理由」と「具体例」で補っていくことが、内容に説得力を持たす上での基本になります。

「なるほど」と言わせる文章3要素3要素を常に意識しよう

たとえば、小論文で「私は日本の社会では格差が広がっていると考える」という主張をするとします。

これを書いただけでは、言いっぱなしであり、採点者は納得してくれません。

・なぜそう思うのか理由)……20年前と比べて、貧困層の割合が○%増えている
・たとえばどういう例があるか(=具体例)……非正規雇用で働く人の中には、収入が低いため、結婚を諦めざるを得ない人もいる。ひとり親家庭の子どもは進学ができないケースがある。

このように「主張」を、「理由」や「具体例」で補うことで、「なるほど、あなたの言うことはその通りですね」と、納得してもらえます。

文章やプレゼンの準備をするときは、「主張」をまず決めて、それを「理由」や「具体例」で補強するということを意識してください。

『落とされない小論文 増補改訂版』では、このようなあらゆる小論文試験における執筆のポイントと、試験直前期に即効性のあるスキルと知識を網羅的に掲載しています。