あなたが普段飲んでいるその薬は、なぜ症状をやわらげるのか?「薬」の奥深き世界を、元製薬会社研究員の著者が超わかりやすく解説した本『「なぜ薬が効くのか?」を超わかりやすく説明してみた』が刊行された。胃腸薬や風邪薬、抗うつ薬、睡眠薬、そして抗がん剤に至るまで、さまざまな薬のメカニズムを知識ゼロからでも楽しく理解できる一冊だ。本書の刊行を記念して、今回はその一部を特別に公開する。

【元・製薬会社研究員が教える】ロキソニン「S」「プラス」「プレミアム」の違いPhoto: Adobe Stock

「ロキソニンS」と「Sプラス」の違いとは?

 ここでは第一三共ヘルスケアが販売しているロキソニンのシリーズを紹介します。「プラス」や「プレミアム」など、複数種類販売されています。これらは何が違うのでしょうか?

 まず、通常の「ロキソニンS」から見ていきましょう。これには有効成分としてロキソプロフェンのみが含まれています(ロキソプロフェンナトリウムという状態で60mg)。

 続いて、「ロキソニンSプラス」。こちらも同様にロキソプロフェンが、ロキソニンSと同量含まれています。その他に特徴的な成分として、「酸化マグネシウム」が配合されています。この成分には、胃を守る作用があります。

 ちなみに、この酸化マグネシウムは、使用量をもっと増やすと便秘を解消する効果をもたらします。「酸化マグネシウムE便秘薬(健栄製薬)」や「コーラックMg(大正製薬)」として、便秘薬が販売されています。

「Sプレミアム」だけに含まれる成分とは?

 それでは、「ロキソニンSプレミアム」はどうでしょうか? 

 まず、ロキソプロフェンは他と同量含まれています。そして「メタケイ酸アルミン酸マグネシウム」という、胃を守る作用をもつ成分も配合されています。

 他の2種類との大きな違いはまず、添付文書に「長期連続して服用しないでください」という旨の注意事項がある点です。さらに、「アリルイソプロピルアセチル尿素」「無水カフェイン」が入っていることです。

 どちらも解熱鎮痛薬だけでなく風邪薬に含まれていることが多い物質で、その痛みを抑える作用をサポートする効果をもつとされています。

 なお、前者は催眠鎮静作用をもち、じつは「エアミットサットF(佐藤製薬)」や「レジャール錠(日邦薬品工業)」といった乗り物酔いの薬にも配合されています。これによって「プレミアム」は、症状がつらく早く寝てしまいたいときには、心強い手段になるでしょう。

「プレミアム」は本当に辛いときだけに

 一方でこの物質は、「習慣性医薬品」に指定されています。簡単にいってしまえば、依存度が高くて習慣的に薬を使ってしまわないように注意する必要がある薬です。また、解熱鎮痛薬とともにこれを服用すると、皮膚障害(薬疹)の副作用が起こりやすい傾向にあります。

 よほど調子が悪いのであれば、このような効果の高い医薬品を服用する必要があるかもしれませんが、むやみに使う必要はないでしょう。

(本記事は、『「なぜ薬が効くのか?」を超わかりやすく説明してみた』(山口悟著)の一部を抜粋・編集したものです)