「メッキが剥がれた」状態は、できるだけ早い段階で経験していることが望ましい。その際に、真摯に反省して、真の実力をつけたいという意識転換ができた人こそが大きく成長する人である。

 一方で、自分にメッキを施し続け、実力をごまかしながら生きていこうとする人もいる。

 こういう人は、一定程度同じ場所にいるとメッキが剥がれるので、常に居場所を変え、新しく違う相手に対して期待感をつくりながら生き延びていく。あるいは、ことさら居場所を変えずとも、危機の際の応答話法の能力(他人に責任を負わせて逃げ切る等)の高さなどで乗り切ってしまう人もいる。

 そういう生き方もありだとは思う。しかし、こういったタイプの人と仕事をしてもいいことは一つもないし、そのような人をリーダーに持つ会社や社会には幸せは訪れないだろう。

メッキが剥がれた後
ホンモノになろうと努力できるか

 まとめておこう。人の評価で落胆させられた場合に、周囲がすべき対応は、バブルがはじけた場合と、メッキが剥がれた場合とで違う。まずはこの2つを混同しないよう弁別する。その上で、状況に合わせて対応を変えなければならない。

 そして、メッキが剥がれたケースでは、その後に真摯に反省し、自己変革を遂げようとする人を温かく見守ることも重要である。最初からホンモノという人はまずいない。人の真贋(しんがん)は、メッキが剥がれたときに反省し、ホンモノになろうと努力するかどうかで決まる。

 われわれのリーダーは、こういう真摯な人でなければならない。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)