「貯蓄から投資」は成長推進のエンジンか?自社株買い“制限”こそが成長戦略Photo:PIXTA

NISA拡充は成長戦略たり得るか?
20年以上続いてきたスローガン

 日経平均株価は、日本銀行の利上げや円高への転換などを機に不安定な地合いが続くが、年初来、上昇を続け7月11日にはバブル後、最高値となる4万2000円台となるなど基調は活況だ。

 岸田政権でのNISA(少額投資非課税制度)など、政府の成長戦略の一つとして株式市場の活性化策が挙げられることが少なくなかった。

 その結果、株式市場は、確かに活性化したかに見える。しかし、株式市場が活性化し、株価が上昇したからといって、日本経済自体が活性化したというわけではない。それどころか、株価の上昇とは裏腹に、実質賃金は伸び悩みが続き、消費も低迷してきた。

 9日公表のGDP統計(国民所得統計2次速報)で実質GDPは2四半期ぶりに、実質個人消費も5四半期ぶりに前期比プラスとなったとはいえ、国内総生産の成長は長く停滞したままだ。

 この株価と実体経済の乖離(かいり)について気づいている人は、かなり以前から、少なからずいたはずだ。

 しかし、株式市場を活性化しても経済が成長しないのだとすると、株式市場とは何なのかを改めて問い直す必要があるだろう。そうでなければ、また同じ過ちを繰り返すことになってしまう。