この長周期地震動だけではなく、南海トラフ巨大地震では宮崎沖から静岡沖までの長さ700キロメートルにわたる震源域が、ほぼ同時に様々な周期の地震を発生させると考えられる。こうした現象でどの周期の波がどれくらい出るかは、事前には予測することが極めて難しい。
よって「想定外」の揺れによって被害が増える可能性は否めず、甚大災害が発生してから初めて地震現象の理解が進むこともこれまでは少なくなかった。自然界では必ず想定外が起きることを念頭において防災対策を立てる必要がある。
巨大地震で揺れる都心
超高層ビルの備えは十分なのか
1970年代から超高層ビルの建設ラッシュが始まったが、長周期地震動をもたらす巨大地震がなかったこともあって、地震に強い超高層ビルという安全神話が広まっていた。その結果、東京消防庁管轄区内にある60メートル以上の高層ビル棟数は、1983年の59棟から2021年の1008棟まで17倍も増えた。
ちなみに、超高層ビルやタワーマンションでよく懸念されている倒壊リスクは非常に低い。さらに多くの場合に停電時にエレベーターを動かす非常用発電機が設置されている。