「タトゥー」に健康リスク!?発がん性との関係は?Photo:PIXTA

 日本国内でも刺青(タトゥー)をファッションとして捉える若者が増えてきた。推しのシンボルを入れる「推し活タトゥー」も珍しくはない。

 その一方、タトゥーの健康リスクが注目されている。

 よく聞く「都市伝説」は、「タトゥーがあると、MRI(磁気共鳴画像装置)検査が受けられない」というもの。

 結論からいうと、酸化鉄の含有量が多いインク部分(黒~茶色系)に多少の灼熱感や痛みを伴うかもしれないが、大やけどを被ることはない。ヒリヒリ感が嫌なら保冷剤を用意しておくといい。

 発がん性については皮膚がんとリンパ腫との関連が報告された。

 人口の2人に1人が少なくとも一つのタトゥーを入れているといわれる米国では、近年、タトゥー内に発生する皮膚がんの報告件数が顕著に増加。米デューク大学の研究者らが、1938~2023年に報告された160例のタトゥー内皮膚がんを精査している。

 その結果、インクの色によって発生する皮膚がんの種類が異なることが判明した。

 良性~グレーゾーンの腫瘍の多くは赤い色素の部分で発生した一方、悪性度が高いメラノーマ(黒色腫)は青と黒の色素内で発生。診断43症例中35例が男性で、平均年齢は45.2歳だった。診断時ですでに腫瘍が真皮へ達しているケースが多かったが、色に隠れて発見が遅れたのだろう。

 以前より、一部の赤系インクは紫外線にさらされると発がん性を生じる可能性を指摘されている。しかし今回の報告では色にかかわらず、日光をあまり浴びない体幹でも皮膚がんが発生していた。

 スウェーデンの報告では、タトゥーがあると、一般より亜型を含む全リンパ腫リスクが21%上昇することが判明。特にタトゥーを入れた直後~2年未満でリスクが高く、その後、リスクは低下するものの、11年後に再び増加に転じることが示されている。

 タトゥーの発がん性に関しては、まだ明確な証拠があるわけではない。逆に安全という証拠もないのだから、タトゥーシール程度にとどめておくのが賢明だろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)