JALの経営に影響大?ワンワールド内「大げんか」も!豪州航空市場が大波乱Photo:PIXTA

経営分離が実現すれば
JALへの影響は避けられない

 カンタス航空に関するオーストラリア国内外の問題とJALへの影響について、すでに2021年には、オーストラリア・ニュージーランドと日本を結ぶ路線の共同事業が、日豪間の独占率の高さを理由に関係当局から却下されるなどの影響が出ている。

 では、具体的にどのような影響が起こり得るか、検証してみよう。カンタスとカタール航空の対立については、アライアンスに対して中立な姿勢を保っていた時代が長く、個別提携も盛んなJALからすると、それほど影響はないだろう。

 一方で、カンタスとジェットスターの経営分離が行われる場合、これはJALの経営計画を揺るがす要素になり得る。

 今春に初の女性、初のCA(客室乗務員)出身である鳥取三津子社長が就任したJALでは目下、航空事業と非航空事業の比率を現在の7対3から将来的に5対5にする中期経営計画を遂行している。航空事業はJAL本体の収入を指し、LCCは今後比率を増やしていく非航空事業に含まれ、重要な役割を果たすことになる。

 現在のJALは、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン(春秋航空日本)、ZIPAIR Tokyo、三つのLCCを傘下に置いている。このうちジェットスター・ジャパンが“長兄”で、11年の設立当初はカンタス航空とJALが約33%ずつを出資する形で誕生した。

 もともとJALはANAに比べるとLCC戦略で出遅れており、ジェットスター・ジャパンの就航もANA系列のLCCであるPeachに比べて遅かった。しかも、ジェットスター・ジャパンの主導権は長くカンタス側に握られていた。

 19年にようやくJALの出資比率が50%に引き上がり、JALから役員を派遣するなど経営への関与を強めたものの、翌年からはコロナ禍が発生した。現在もジェットスター・ジャパンの業績は振るわず、23年6月期決算も4期連続の赤字に沈んだ。

 このような状況下、仮にジェットスターがカンタスと経営分離された場合、JALはカンタスが保有するジェットスター・ジャパン株を取得して、現在の持分法適用会社扱いから子会社化する選択肢も考えられる。