就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第22回。今回は、若い世代の働く価値観の変化を経年で見ながら、企業に求められる姿勢を考えていきたい。
「働きたい組織の特徴」に表れる、
次のキャリアを見据え成長を求める姿勢
就職みらい研究所では、大学生・大学院生の「働きたい組織の特徴」について、2014年卒~2025年卒まで経年で調査を行っています。過去12年の推移に、若い世代の“働く価値観”の変化はどう表れているのでしょう。調査では、さまざまな組織の特徴を示したうえで、「A」「どちらかといえばA」「B」「どちらかといえばB」の4つの選択肢の中から単一回答で選んでもらいました。(本記事では、「A」「どちらかといえばA」を合わせたものを「A」、「B」「どちらかといえばB」を合わせたものを「B」と記載しております。)7つの設問から、変化の特徴を見ていきましょう。
自身の成長スタイルに関する設問として、「A:どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力が身につく」組織と、「B:その会社に属していてこそ役に立つ、企業独自の特殊な能力が身につく」組織のどちらで働きたいかを聞いたところ、「A」「どちらかといえばA」を選んだ25年卒の学生は77.0%でした。24年卒の数値からは0.9ポイント微減したものの、12年前から経年を見ても、Aを選ぶ傾向はずっと続いています。従来の日本的雇用慣行にあったような、新卒で入社した会社で定年まで勤め上げるといった考え方は薄れ、転職も視野に入れてファーストキャリアを選ぼうという姿勢が垣間見えます。
次に、「A:会社のもつノウハウや型を学ぶことで成長する」組織がいいか、「B:個人が試行錯誤を行うことで成長する」組織がいいかを聞いた設問では、「A」「どちらかといえばA」と回答した学生は合計で74.7%でした。会社から積極的に学びを得て、自分のキャリアを考える人が増加傾向にあると言えるでしょう。