「会社の仕事で『明るさ』は必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいても、明るい組織やチームは、上司・部下にかかわらず気軽に話せる雰囲気があるので、相談がしやすく情報共有が円滑に進みます。時には雑談に興じながらも、1人ひとりが仕事に集中し、メンバー個々が高いモチベーションを保ち、主体的に動くので、高い実績を挙げることができるのです。

 チームや組織の明るさというものは、それを率いるリーダーや、そこに集うメンバーの「明るさ」があってこそ生まれるもの。

書影『強いチームはなぜ「明るい」のか』(幻冬舎新書)『強いチームはなぜ「明るい」のか』(幻冬舎新書)
吉岡眞司 著

 では、この「明るさ」とはいったい何から生まれるのでしょうか?

 それは、心の状態を自らコントロールし、どんな状況でも自分の持つ力を100%発揮できるように努めること、これに尽きます。先に述べた塾高の選手たちの「ありがとう」という言葉の応酬、相手チームのファインプレーに対する拍手などは、すべてがここに繋がっているのです。

 心の状態をセルフコントロールすることは、トレーニング次第で誰でも身につけることができます。そのポイントは、私たちの脳のメカニズムをきちんと理解し、脳に肯定的な「錯覚」を起こさせること。誤解を恐れずに言うと、脳をうまく「だます」ことで、マイナスに傾いた心の状態をプラスに引き寄せることができるのです。