「気がきく部下」を育てる3ステップ
上司にも高いスキルが求められる

 上司としては、このような「事前準備」の技術を踏まえて、部下に指導することが重要です。そうすれば、「気がきく」若手社員を育成することができます。

 具体的に、どのようにすればよいか、考えていきましょう。

Step1:対象を絞る

 まずは、上司である自分が「何を考えているのか」を想像して、議論や資料の準備をするように指示します。つまり、上司に対して「気がきく」状態を目指してもらうのです。

 人によって興味関心や気になるポイントは異なりますから、経験の浅い若手社員が、あらゆる人の好みに合わせようとしてもうまくいきません。

 そのため、対象を絞ります。まずは若手社員の直属の上司や先輩社員にとって「気がきく」状態を目指すように、指導しましょう。

Step2:「気がきく」と評価されることのメリットを伝える

 また、この際に「若手社員自身にメリットがある」と理解してもらうように努めましょう。

 上司に言われたから素直に従うという人もいますが、中には理由を求めるタイプの人もいます。そうしたときに、前者であれ、後者であれ、事前に丁寧な説明をしておく方が、気がきいていますよね。上司であるあなたが率先して「気がきく人」になることを実践しましょう。

 メリットは、いくつかありますが、

・仕事がスムーズに進むので、上司や先輩、そして若手自身も生産性が上がる(=無用な残業が減る)
・周囲から「あいつは仕事がデキる」という評価を受けやすい(=頼りにされる、発言力が上がる、やりたい仕事を任せてもらえるようになる)
・いざという時に、相手の感情を読み取って危機回避ができる(=いろんな相手の興味・関心などを読み解く力、つまり“空気を読む”力が上がり、「場」をコントロールできる)

 などが挙げられます。

 可能ならば、若手社員が特に気にしているポイントに合わせて、メリットの伝え方を変えると、より相手に響くでしょう(まさに、“気のきいた”伝え方ですよね)。