Step3:フィードバックを丁寧に

 そして、実践です。最初の頃は事前の指導は難しいので、基本的に「事後」の指導にならざるを得ません。

 何か調べ物を依頼したり、資料を作ってもらったり、飲み会の幹事をお願いしたり、他部署とのやり取りを任せたり、お客様へのアポ入れを担当してもらったり……いろいろなシーンで気のきいた行動ができているかどうかを判断する機会があると思います。

 そうした際に、頼んだ仕事をしっかりと遂行したことに対するお礼と共に、「どういうふうにしてくれたら、よりうれしかったか」を伝えることから始めましょう。

 当然ながら、頼んだ仕事で100点を取れていない場合には、気がきくかどうかの話の前に、「まずは100点を取ること」について話す必要があります。「気がきく」は、あくまでも加点を狙う話です。減点を減らす方が先です。

 しっかりと、頼んだ仕事をこなしていることが確認できた上で、「こういう対応があるとなお良い」というように話していきましょう。

 指摘内容としては、

・もう少し、冒頭のあいさつを丁寧に書いた方が良かった。先方は着任したばかりなので、今後も気軽に相談してほしいというようなことを示した方が、関係性を作りやすい
・先方は価格を気にしていたので、添付資料には含まれていたけれど、価格に関する情報をメール本文でも説明しておいた方が良かった
・納期を早めてほしいという要望に「対応します」とさらりと答えていたが、社内調整が大変だったことなどを踏まえると「もろもろ社内調整を進めまして、何とかご要望に沿う形で対応できそうです。」などと書いた方が、感謝もしていただけるし、次回以降のお願いについても控えてもらえる可能性がある

 といったようなものになるかと思います。

 こうした指導をした上で、2回目、3回目には、「過去に指摘したことの中でできていることは何で、できていないことは何か」を指摘する形に移行していきましょう。

 ここで注意すべきは、「整合性」「一貫性」です。「言っていることが前と違う」となれば、若手社員も混乱しますし、上司であるあなたの信頼にもかかわります。

 つまり、指導する側にも、高いスキルが求められるわけです。

 これまで人材を育成した経験が少ない方の場合は、「若手を指導することで、自分も一緒に成長している」と捉えていきましょう。何を指摘し、どういう指導をしたのかをメモしておいて、自分自身で読み返してみるのもお勧めです。ぜひ、トライしてみてください。