師匠から言われた「衝撃の一言」
師匠からはこう言われました。「本多くん。君は忙しそうにしているだけで、仕事の本質がわかっていない」。衝撃でした。呆然とする私に師匠はこう続けました。
「どんな仕事も終わらせなければやっていないのと同じなんだよ。まわりを頼っちゃいけないなんてルールもないし、やり方は一人ひとりに任されている。本多くんは自分1人で仕事をすることが目的になっていないかい?」。
私はハッとしました。同時に、視界が開けるような気もしました。そのまま師匠に話を聞くと、「悩んだらすぐ人に相談する」、「最初から1人でやり切ろうとしない」ことを徹底していると教えてくれました。
実際に師匠は、漫才台本でも悩んだことがあったらすぐに私たちに聞いてくるところがありました。その理由は、悩んで何時間も無駄にするくらいだったら、人にアドバイスをもらって話を前に進めたほうが効率がいいからだそうです。というよりも、そうしないと終わらないほどだったのでしょう。
私はそれ以来、人と協力しながら仕事を進めることを覚えました。すると、締切を遅れることはなくなりましたし、それによって信頼されるようにもなり仕事の量も増えました。
さらには、ほかの人の仕事を手伝えるくらいの余裕まで生まれ、まさにいいことづくしでした。あのときの経験が、今の私の基礎になっています。
繰り返しになりますが、仕事を1人やり切ろうとする責任感はいいことだと思います、ただその思いが強すぎると目的を見失ってしまいます。スタンス次第で仕事は楽しいものにもつらいものにも変わりますから、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。