「東京一極集中」はまったくの誤解
東京は日本の首都であり、国内外から多くの人々が集まる大都市である。人口動態については、自然増減や社会増減、外国人の流入など複数の要因が複雑に絡み合っている。
東京では、全国の出生数の12%を占めるほどの出生があるが、死亡数はそれを上回っており、自然減が進んでいる。少子高齢化の典型的な現象であり、東京都も例外ではない。
また東京都の場合、地方から多くの若者が東京に転入してくる一方で、ほぼ同規模の人々が東京から他の地域に転出している。
東京では毎年多くの住民が入れ替わっており、ダイナミックな人口の動きが見られる。特に若者は、仕事や教育を求めて東京に来ることが多い。一方で、年を重ねたり、家庭を持ったりすると、生活環境や子育て環境を求めて地方へ移住するケースも少なくない。
このような転入と転出の動きがあるため、東京都の日本人の人口は結果的に大きな増減がなく、ほぼ横ばいで推移している。
「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」によれば、日本人の人口の推移は下記の通りだ。
2020年:1325万7596人
2021年:1329万7089人
2022年:1327万7052人
2023年:1326万553人
2024年:1326万4486人
結局のところ、微増・微減を繰り返しているというのが現状だ。人口に関して「東京一極集中」というのは、まったくの誤解であろう。
合計特殊出生率の「カラクリ」とは?
注目すべきは、東京都で外国人の増加している点だ。
日本人と外国人を合わせた人口の総数は1391万1902人で、前年から7万237人増加した。そのうち、外国人が6万6304人を占めている。東京の人口増加の9割超が外国人によるものだということである。
若い外国人労働者や学生が増加していることが原因であり、コロナ禍後には増加傾向が一層強まった。外国人人口の増加は、東京都の労働力を補い、経済活動を支える重要な要素となっている。
ここまで、大枠としての人口の増減をみてきた。丸山知事の懸念する「一極集中」などというものが、東京では起きていないことがわかる。では、合計特殊出生率はどうだろうか?
合計特殊出生率とは、1人の女性が生涯に出産する子どもの平均数を示す指標である。人口の再生産や将来的な人口推移を予測するために用いられる。
厚生労働省の「2023年の人口動態統計」によれば、東京の出生率は0.99。全国平均の1.20を大きく下回り、47都道府県で最も低い。
おそらく丸山知事は、この数字を指して「子育て世代と言われる年代の方々が、一番集積している地域が日本で一番出生率が低いということは、出生率を引き下げる要因になってる。明らかです、算数的に言って」と東京を批判したのだろう。
しかし、この0.99という数字にはカラクリがある。