結婚しやすく、子どもを産みやすい東京
先ほど述べたように、合計特殊出生率は1人の女性が生涯に生む子どもの数を示す。
この指標には未婚女性も含まれるため、結婚していない女性(主に18歳〜24歳の女子大学生や若い就労者)が多く集まる東京では、数値が異常に低く出てしまうのだ。
人口動態をみても、就学や就職のため若年層が東京都に転入する一方で、30代〜40代前半の子育て世帯が転出する傾向にあることは明らか。子育てを始めるまでは東京にいて、子どもが生まれると地方へと転出している。
その点を無視して、「都市部の出生率が低いから少子化が進んでいる」という論は不適切である。
日本は婚外子率が2.3%と低いので、結婚と出産の指標をみると、少子化や出生率の背景が理解しやすくなる。
住民1000人当たりの年間婚姻件数を示す「婚姻率」は、東京が5.5件で全国平均の4.3件より28%も高い。15歳~49歳の既婚女性1000人当たりの年間出産数を表す「有配偶出生率」も、東京74.9、全国平均72.9で、東京が相対的に出産しやすい環境にあることがわかる。