「性の商品化だ」「女性蔑視も甚だしい」とフェミニストの皆さんから強烈な抗議が寄せられそうな話だが、中国やアメリカでこのようなものが開発されているのは女性差別だなんだという話ではなく、深刻な「男あまり」という現象の影響が大きい。

セックスボットが解決する社会問題

 中国は圧倒的に男性が多く、結婚適齢期とされる20歳から45歳までの人口で男性の数が女性の数よりも3000万人も多い。しかも、貧富の差が激しいことに加えて、「結婚するには持ち家がないといけない」という厳しい条件もあるので独身男性が溢れている。

 実はこれはアメリカも同じ傾向で、近年、成人の未婚率は38%と1990年と比較して約10%アップしている(Forbes「米国の成人の38%は独身、1990年の29%から大幅に増加」)。

 その独身男性の中には、自分たちが女性と関係が持てないのは、女性側に問題があるとして敵意を剥き出しにする人たちがいて、「Incel」(Involuntary celibate 不本意ながら禁欲を強いられている)と呼ばれている。ちなみに、「Incel」思想に取り憑かれた男性はアメリカやイギリスで銃乱射事件などを起こしていて、今年8月にはイギリス政府が「過激主義」として取り扱うと発表、警戒を強めている。