このように「どう努力をしても女性と関係を持てない非モテ男性たち」の逆恨み的なミソジニー(女性嫌悪)を防ぐためにも、セックスボットの必要性が唱えられている。

 この流れは同じく「男あまり」「貧しい男が多くて結婚できない」という問題を抱える日本にも遅かれ早かれやってくるだろう。

 生物学者の池田清彦氏と医師の和田秀樹氏が、現代日本の男性が「オス」らしく生きていくにはどうすべきかというテーマで対談している「オスの本懐」(新潮新書)の中で、日本のいわゆる「ダッチワイフ」(ラブドール)も今後は中国やアメリカで開発されるセックスボットのような方向へ進化していくと予見している。

池田 それにAIを組み込んだら、ほとんど人間だよね。しかも、ディープラーニングで相手の好みをどんどん学習するから、その人にとってはルックス、内面ともに魅力的で完璧なダッチワイフが出来上がるわけだ。

和田 AIの技術がそこまで進んだら、当たり前のように労働力になります。医療や介護の現場でAIが活躍し、家事もロボットとAIがこなしてくれるわけですから、家族みたいな存在になる。そうなると、今みたいなポリティカル・コレクトネスでがんじがらめになった息苦しい社会も変わるのではないでしょうか。AIロボットが相手なら、オスが輝くとかメスが輝くとか、性別を意識した話もなくなって、どんな本音をぶつけても平気という世の中になるかもしれません。(『オスの本懐』 和田 秀樹、池田 清彦 著 新潮社刊)

 つまり、昨今、社会問題になっている「ちゃんと同意をとったのか」「仕事上の立場を利用して断れない状況に追い込んだのではないか」」という男女トラブルも、セックスボットの進化でかなり減少していくというのだ。