「原付よ、ありがとう!ご苦労様でした」2025年に生産終了も『復活』の可能性はある?Photo:PIXTA

新しい排ガス規制のターゲット
二酸化炭素じゃないなら、何?

 さて、いよいよ本題です。原付一種の生産が終了する理由は、ずばり「新しい排ガス規制をクリアできそうもないから」。2025年11月に二輪車の排ガス規制が強化されるのですが、現行の原付一種ではこの排ガス規制をクリアできないのです。

 ここで、「え?ちょっと待って!」と思う人も多いかもしれません。原付といえば、「燃費が良くて経済的」「環境にも優しい」といったイメージで知られるからです。実際、原付一種は50ccというかなり排気量が少ないエンジンを積んでいます。軽自動車と比べても13分の1程度の排気量です。排気量が少ないということは、必要な燃料も空気も少なくて済みます。このため50ccの原付が出す二酸化炭素は比較的、少ないです。

 それではなぜ、原付が排ガス規制の影響で生産終了に追い込まれてしまうのでしょうか。実は今回の規制は、二酸化炭素がターゲットではありません。問題視されているのは、HC(炭化水素)やNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)といった成分です。

 HCやNOx、COも排気量に比例して増減しますが、一般的に排気量の大きなエンジンの方が燃焼のコントロールなどがしやすく、排ガスをクリーンにしやすい傾向があります。そして、排気量の大きなエンジンは、排ガスの後処理がしやすいという利点があります。

 現在のクルマは「触媒」という装置を使って排ガスをクリーンにしています。排ガスが触媒の中を通ると化学変化が起きて、NOxはN(窒素)とO(酸素)になり、HCはH2O(水)に、COはCO2(二酸化炭素)になって無害化されます。