「だったら原付一種にも触媒を付ければいいのでは?」と思う人も多いでしょう。しかし、そこには技術的な壁がぶち当たります。

 触媒を効率よく働かせるためには、触媒を一定温度まで上昇させる必要があります。ところが、50ccの排気量では触媒の温度を上げることがどうしても難しい。結果として、排ガス浄化が基準値を満たせず、ホンダやスズキは生産終了の方向で検討、となってしまったのです。

新たに考案された
「新基準原付」とは?

 とはいえ、原付一種は宅配デリバリーや新聞配達などさまざまな用途で使われ、私たちの生活を支えている貴重なモビリティでもあります。すぐさま実技試験のある排気量の大きな二輪車に乗り換えなさい、というのはかなり無理があります。

 そこで考え出されたのが、原付二種の出力を規制して、原付免許でも乗れるようにすること。具体的には、125ccまでの排気量で最高出力を5.4馬力(4kW)以下に規制した「新基準原付」を設定し、従来の原付一種が運転できる免許で運転可能にする方針です。運転の基本は従来の原付一種と同様で、最高速度は30km/hに規制され、2人乗りは不可、二段階右折もマストです。

 戦後の復興から日本を支えてきた原付一種は消えるわけですが、今後はバイオ燃料や低温でも効率よく働く触媒など、排ガスをクリーンにする技術革新が進めば、復活する可能性もあります。今は、静かに消えていく原付一種に「ありがとう、ご苦労さまでした」と伝えたい気持でいっぱいです。