中尾:男性ホルモンが、60代以降の人間にとっては、ある意味では元気の源になっているということですね。
和田:男性ホルモンは、実は「元気ホルモン」に呼び替えたほうがいいのではないかと思います。これは、男性ホルモンの知見を日本にいち早く導入した医師である熊本悦明先生の発案でもあります。
熊本先生は、90歳を超えてずっと現役で、2022年に94歳でピンピンコロリで亡くなりましたから、やはり長寿で元気であるということと関係しているのかもしれません。また、熊本先生は、プロスキーヤーで80歳でエベレスト登頂にチャレンジ、成功しエベレスト最高齢登頂者となった三浦雄一郎さんの主治医でもありました。
血糖値やコレステロール値よりも
男性ホルモンの不足に注目せよ
和田:三浦さんは76歳のときにスキーで転倒し、骨盤と大腿骨の付け根を骨折してしまい、著しく筋力が低下したことがあったそうです。その際に熊本先生が男性ホルモンのひとつである「テストステロン」の注入による治療を行いました。