現在の世界を特徴づけるものは、グローバル化です。
この関連で興味深い本があります。ケンブリッジ大学出身の歴史学者クリストファー・ロイドが著した「137億年の物語」です。この本は、宇宙が始まってから今日までの137億年の歴史を、的確な視点によって大胆に要約したものです。母なる自然からホモ・サピエンスが誕生し、文明の夜明けが訪れ、そしてグローバル化が進んだのです。では、どうやって進んだんでしょうか?
少々長い引用ですが、
「現代のサウジアラビアのメッカに住んでいた男が神から受けた啓示は、風に乗った胞子のように広がって、ヨーロッパとアジアの大部分をひとつの文化圏にまとめます。中国で生まれた学問が、イスラームの商人によって西へ運ばれ知識に飢えていたヨーロッパにもたらされました。アフリカ大陸の黄金がきらめく中、探検家は、東や西の海のかなたにある国々へ船でたどりつけるという噂に刺激され、改良された船で大航海をなしとげます。この大航海時代にヨーロッパの文化は世界の隅々まで行き渡り、各大陸は「新たな超大陸」に統合されたのです」
という感じでしょう。
この記述は、音楽のグローバル化を連想させます。始めに、それぞれの民族に固有の音楽がありました。東洋には東洋の、西洋には西洋の、辺境には辺境のそれぞれの音楽ありました。が。平均率と5線譜によって統合が進みます。そして、20世紀の後半になると音楽は加速度的に融合して行きます。現代の音楽の特徴は融合と統合です。ロックやソウルやジャズやラテン等々のジャンルは意味を失いつつあります。それが音楽のグローバル化の本質です。
と、いうわけで、今週の音盤はサンタナ「ロータスの伝説」(写真)です。