リーダーはどの言語化を担う?
では、誰が何を担えばいいのでしょうか? 結論から言うと、
● 経営者は、ビジョンを言語化する
● リーダーは、メンバーが行うアクションを言語化する
● メンバーは、日々のコミュニケーションを言語化する
です。
経営者がビジョンの言語化を担当することに対し、異論はないでしょう。そして現場のメンバーがお互いに明確にコミュニケーションをしながら業務を進めていかなければいけないこともご賛同いただけると思います。
問題はリーダーです。メンバーが行うべきアクションを言語化するのはリーダーの役割です。
メンバーが現場でとるべきアクションを言語化するのは「リーダーの責任」とぼくは捉えています。ぼく自身のリーダー経験を振り返っても、ぼくがアドバイザーとして関わっている企業の事例をみても、リーダーが「アクションの言語化」をできているケースでは驚くほど組織がスムーズに動いていくのです。
実際に現場で行動するのはメンバーです。リーダーの役割は現場に出ることではなく、現場に出ているメンバーが成果を出せるようにコーディネートすることですね。
実際に行動するのがメンバーなので、多くの現場で「何をしたら成果が上がるかは、メンバーが自分で考えるべき」と思われています。ですが、それは誤った認識と言わざるを得ません。
メンバーがとるべきアクションを決め、指示をするのはリーダーの役割です。
スポーツに当てはめるとわかりやすい
たとえば、多くのスポーツではサインを出すのは監督の仕事です。各プレイヤーは監督が決めた作戦に従い、監督が指示したプレイをします。これがチームです。野球で言えば、打席に入っているバッターに「送りバント」のサインを出しているのは監督です。バッターが自分で判断してバントをするケースもありますが、ほとんどの場合は、監督が指示を出したからバッターがバントをするのです。つまり、現場で動くプレイヤーが何をすべきかを考え、指示をしているのは監督なのです。
もしスポーツの試合で、監督が指示を出さなかったらどうなるでしょうか? メンバー各自が試合に勝つために何をすべきか考えなければいけないとしたら、どうでしょうか?
監督がベンチに座ったまま「自分で考えて、成果を上げてきて」とプレイヤーに言っていたら、間違いなくその監督はクビになるでしょう。指示がなかったとしても、メンバーは何らかのアクションを考えて行動します。しかし、それはまとまりがなく、作戦としてバラバラなものになってしまいます。
仕事現場でも同じです。スポーツの論理を会社組織に重ねて考えるならば、
そのチームのメンバーの動きを考える人:リーダー
そのチームのメンバーに動きを指示する人:リーダー
実際に行動する人:メンバー
実際の行動の質を上げるように考える人:メンバー
という位置づけになります。