もし現実にこのような「夢を追う」などしてバイトで生計を立てている若者が、妹の結婚式など「突然の出費」に直面したらどうなるのか、想像していただきたい

 この若者はSNS上の良識ある皆さんと同じく、「とにかく借金は絶対にダメ」という信念があるとしよう。なので、友人や家族に借りるなどもってのほかだ。

 そこでまず迷うのは、妹から提案された、革ジャンなど普段のカジュアルな格好で出席する選択だ。しかし、やはり兄として妹の晴れ舞台で、相手の家族などもいるのでどうしてもちゃんと礼服を着たいという結論になった。とはいえ、「洋服の青山」など安い礼服が揃う店で買うにも、レンタルするにしても先立つものがない。

 となれば、この突然の出費を乗り切るには「日雇いバイト」しかない。多少仕事はキツくてもガツンと高収入が得られるような美味しい仕事をネットやSNSで探すはずだ。そんなとき、「誰にでもできるお仕事です」「日当2万から5万」「DMください、すぐに返答します」という求人が目に飛び込んだ――。

 ここまで言えば、もうおわかりだろう。これが闇バイトのカモになってしまう基本的なパターンだ。事実、先ほど触れた、横浜で強盗をした22歳の男性も、「税金の滞納が数十万円あり、短期間で稼げるアルバイトを探し、SNSでホワイト案件などという投稿を見つけ指示役とつながった」と述べている。