夢を追うために必要なギターを買い替える、スタジオを借りる、などで67万円がいっぱいになったとき、自分や家族が病気になったり、先ほどの22歳の男性のように税金を請求されたりしたらもうお手上げだ。総量規制があるので、どこの消費者金融も貸してくれない。
となれば、残るのは闇金か闇バイト。つまりは一獲千金を目指して「闇」の世界へ自ら飛び込むしかないのである。
これこそ100%人生が詰むのは明らかなのに闇バイトに応募をする若者が後を絶たない理由だ。貧しい若者は好き好んで「闇」に取り込まれているわけではない。他の道を閉ざされているので、磁石のように吸い寄せられているのだ。
地獄への道は
善意で舗装されている
なぜそんなことが断言できるのかというと、これは筆者が貸金業法改正時から違法ビジネスの現場で幾度となく見てきたパターンだからだ。
当たり前だが「総量規制」が始まったことでヤミ金は大いに潤った。消費者金融でカネを借りられなくなった人たちが、磁石のように吸い寄せられたのである。そのような形で「闇」に取り込まれた債務者の中には、利子返済の代わりに、ヤミ金の取り立てを命じられる人や、名義貸しなど別の犯罪への協力を強いられる人もあらわれた。まさしく「闇バイト」の源流である。当時あるヤミ金業者は筆者にこんな“予言”をした。