人によって事情はさまざまだが、急な物入りでカネを工面しなければならなくなった貧しい若者たちから「カネを借りる」という選択肢を奪うことは、「闇の世界に飛び込め」と背中を押してしまっているようなものなのだ。

 そして、この状況にさらに拍車をかけているのが、2006年に改正された貸金業法によって段階的に施行され、2010年に完全施行された「総量規制」である。

「気軽な気持ちで消費者金融でカネをつまむと破滅する」と「闇金ウシジマくん」のようなイメージで、アコムのCMを叩いている人はあまりご存じないだろうが、今は消費者金融でカネをつまんでそこまでシビアな状況になるのはかなりレアケースだ。

 この法改正によって、どんなに急な出費があったとしても年収の3分の1以上は借りたくても、どこも貸してくれなくなっているのだ。

 これによってサラ金で破滅する人は激減したが、その一方で低収入の若者たちをさらなる苦境に追いやってしまう。例えば、アコムCMに登場するようなバンド活動をして夢を追いかけるフリーターの平均年収は201万円(国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」)なので、67万円の借金が限度額だ。月で割ると5万5000円程度だ。