「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#9は、化学92社の業種別ランキングをお届けする。健康被害問題が発生した小林製薬は14位だった。果たしてトップ3は。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
小林製薬の役員が報酬を一部返上
化学92社のオーナー企業ランキング
報酬を一部返上――。紅こうじ原料を含むサプリメントの健康被害問題を受け、小林製薬は10月8日、執行役員や社外取締役ら18人が役員報酬を一部辞退すると発表した。
小林製薬は今年1月中旬に健康被害の報告を受けながらも、自主回収を発表したのは3月下旬になるなど、経営陣による対応が後手に回った。背景には、創業家依存によるガバナンス不全があった(本特集#1『紅麹健康被害の小林製薬、創業家依存からの「脱却」は道半ば!ガバナンス不全の“戦犯”は社外取締役!?』参照)。
役員らの報酬の返上は、一連の対応についての責任を受け止め、再発防止策に取り組む決意を示したものである。社外取締役が報酬を一部返上する事態は異例だ。
小林製薬では創業家への“忖度”が統治不全を生じさせた格好となった。一方で、創業家の存在が同社を大きく成長させてきた側面もある。オーナー企業が抱える“ジレンマ”が表れたといえるかもしれない。
では、小林製薬を含む化学業界で最強のオーナー企業とは。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、オーナー企業のうち化学92社の業種別ランキングを一挙に公開する。ユニ・チャームが上位に入った。