勉強の遅れを病気のせいにしたくないと猛勉強した。娘を高校転校にまで追い込んでしまったのは、こうした自分の体験が間接的な原因なのではないかと思い始めた。
子どもが親元から巣立つときは必ず来る。生活の基盤を築くためにも「いい大学を出て、いい会社に就職してほしい」と願う親は多いだろう。親としてできることは精一杯やってあげたい。そんな親心から、子どもの意に反して学業に過剰なまでに介入をしてしまう。
「大学受験のときは予備校に通ってほしいと、娘の意思を確かめないで勝手に申し込んでしまったり、塾の冬期講習に行かなかったことに対して、問い詰めたりしてしまいました」
「娘とカウンセラーとのダイアローグの中で、娘自身が今何を考え感じているのかを聞き、我に返りました。高校卒業後の進路について話した際、娘のやりたいことを尊重して、それを学べる専門学校を受験して今は、その学校に通学しています」
専門学校に無事入学して一件落着のように思ったが、娘は入学してまもなくうつ症状が出てしまった。母娘関係のやり直しはそう簡単にはいかないとH子さんは実感した。(後編に続く)