よくよく考えてみると、われわれも日常的にコミットメントデバイスを利用していることに気づく。子どもの部屋が散らかっていてイライラする親は、ただ単に片づけなさいと言うだけでなく、片づけることを子どもに約束させる。
トレーニングもパートナーと一緒にやれば、相手をがっかりさせたくない一心で挫折を免れるだろうし、半年後のハーフマラソンにエントリーすれば、嫌でもトレーニングをするだろう。

同じように職場でも、次の会議までに何をすべきかを同僚に発表してもらうことによって、彼らがそれを実行する可能性を高めているのだ。食料品のオンライン購入が増えてきた理由は、未来の自分の選好に合った商品の購入を自分に課し、現在の自分による衝動買いを回避するためだ、とするエビデンスもあるくらいだ。
さまざまな領域において、現在の自分は、未来の自分に対し誘惑に陥らないでほしいと考えていても、いずれ自分はその誘惑に陥ってしまうだろうということを、われわれは直観的に理解しているということなのだ。こうなるのを避けるには、未来の自分の行動についてコミットしてしまうのが効果的だ。目標を決め、それを達成するためのステップを明確にしたら、それらの達成にコミットしよう。