国民民主が実現を目指す
2点突破の減税政策

 では、玉木代表が実現したい政策とは何かと言えば、これはご承知の方も少なくないかと思うが、減税である。

 国民民主の衆院選の政策パンフレットに記載された減税策は、基礎控除などの額を現行の103万円から178万円に拡大すること、ガソリン税のトリガー条項の凍結を解除するのみならず、付加税率自体を廃止すること、そして時限的な消費税の5%への減税といったもの。

 いずれも必要な措置であるが、消費税についてはハードルが高いと見たのか、玉木代表は基礎控除などの額の拡大とガソリン税の付加税率の廃止の2点を、最近の記者会見などでは強調している。まずは2点突破を図ろうということなのだろう。

 自公連立与党が過半数割れという状況下で、28議席を獲得した国民民主は大きなバーゲニングパワー(交渉力)を行使しうる立場になったと言える。法案などを円滑に審議し、通過させたい自公連立与党にとって、国民民主の協力は喉から手が出るほど欲しいものであろうし、これらの要求を丸呑みする可能性も高くなったのではないか。

 元財務官僚の玉木代表は、今も在籍していたならば、おそらく官房審議官などの幹部職員である。もしかしたら、基礎控除などの額の拡大とトリガー条項凍結解除、付加税率の廃止について、財務省幹部から良い感触を既に得ているのかもしれない(だから消費税については、この段階ではトーンダウンしたのではないか、と邪推したくなる)。

 もしそうだとしたら、所管省を先回りして押さえた上でバーゲニングパワーを行使しようということであるから、実に見事な政策実現能力ということになろう。

 自公連立与党が大幅に議席を減らしたものの、政権交代は起きない。しかし、新たな政策形成、政策決定のプロセスへと変容していくことは確かだろう。