連立ありきではなく
政策実現を最優先する国民民主

 この状況を見て筆者が思い出すのは、かつて、みんなの党がとっていた、政策ごとに組む相手を選ぶクロス連合戦略である。「誰と組むかの前に、何をやるか」、何十回、何百回と聞いたこの一文、連立ありきではなく政策の実現を最優先する国民民主の態度、考え方にピッタリ当てはまるのではないか。

 また、政権、与党というと、当然に過半数を占めているものだという印象を多くの日本人が持っているかもしれない。だが、欧州を見ると、例えば北欧諸国では、過半数を下回る政党ブロック(複数の政党による連合)が連立与党の少数派内閣となり、法案などの審議においては他の特定の政党と閣外において協力するという事例はこれまでにある。また、フランスにおいても、マクロン与党連合は過半数を占めてはいない。国民議会第1党は野党国民連合(RN)である。

 少数派内閣の場合、閣外において協力する特定の政党の態度如何が法案などの可否を左右することになるので、連立政権に参加していないにも関わらず、その政党は決定的な力を持つことになる。つまり、政権内にいるよりも政策実現能力が高くなるということであり、国民民主の玉木代表はこの辺りを狙っているのではないかと、かつて連立政権について研究したことがある筆者としては考えている。