2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

「涙を流すほどのやさしい気持ち」を持っていると、病気になりにくいらしい

 以前、ある作家が、NHKの朝のドラマ『おしん』について、こんなことを書いていました。

「この番組には、意外な効用がある。それは『泣く』ことの効用だ。私の妻も、このドラマを観てよく泣いていたが、泣いた日の妻は、私に対する態度がやさしくなっていたように思う。私自身も、泣いた日は心が穏やかになって、イライラしたり怒ったりすることがなくなった。みんなが泣いたと思われる日は、電車の中さえ穏やかで、一人ひとりがやさしくなっている気がした。どうも人は、『泣く』ことでやさしくなるらしい」

 この文章のことを思い出したのは、ある人が「不思議な体験をした」と私に話してくれたからです。

 その話をしてくれた方は70代の女性で、20代のころから、約50年間、心臓病で苦しんでいました。

 いろいろな治療や薬を試してみたものの、心臓の苦しさはなくならない。心臓が耳元にあるかのように、「ドキンドキン」という心音が聞こえてくる。「いつ心臓が止まるか」と怯えながら生きていたそうです。

 そんなとき、知人から誘われ、ある禅宗の寺院が主催する3泊4日の「座禅体験会」に参加することになりました。

 すると、お寺についたときから「突然、涙が出はじめた」といいます。

 悲しいことがあったわけでも、感動したわけでもないのに、「わけもなく、涙が勝手にあふれ出た。涙とはこんなにも出るのかと思うくらい、大量の涙が流れた」そうです。

 涙は体験宿泊が終わるまで流れ続け、寺を出たときに止まったといいます。そして涙が止まると、この女性は、「妙な感じ」を味わったのだそうです。

「妙な感じ」とは「静けさ」でした。

 いつも耳元で聞こえていた「ドキンドキン」という心臓の音が聞こえなくなっていたそうなのです。その日以降、日常的に心臓を意識することがなくなり、「心臓がラクになった」そうです。この女性の事例は「涙が体質を変えたようだ」というよりは、「涙が病気を治したようだ」と表現してもよいのかもしれません。

 人は、涙を流すと、怒らなくなり、怒鳴らなくなり、イライラしなくなるようです。

 どうやら人は、「やさしくなる」ことで、病気を改善できることがあるらしいのです。そして、涙は、いろいろなものを洗い流すことができるらしい。

「涙を流すほどのやさしい気持ち」を持ち続けていると、病気になりにくいのかもしれません。