できない子どもを叱るのは
愚の骨頂

 子どもが勉強を嫌いになる理由はシンプルです。

 それは勉強がわからないのに無理やり押し付けられて「なぜできないのか」と責められるからです。できないことを強制されて喜ぶ人は大人でもいないはずです。

 特にお受験が絡むような場合、親の理想通りに子どもができないと感情的に当たってしまう親御さんもいます。

 親に庇護(ひご)されている子どもにとって、親というのは圧倒的に強い立場にあります。そんな相手から激しく責められるという状況は、子どもの立場になってみたら相当に恐ろしいことです。子どもが強い恐怖心や劣等感を感じてもおかしくありません。まだ勉強に慣れていない4歳や5歳の幼児であれば、なおさらです。

 親はせっかく子どもの能力を伸ばそうとして一生懸命に教えても、「こんなこともわからないの!」と怒ってしまったら、子どもは「自分はダメな子だ」と劣等感を感じ、勉強する意欲を失ってしまいます。

 こんなに辛いことを押し付ける親に対して恐怖感や嫌悪感を抱き、「自分は見放された」とコンプレックスを抱えてしまう子もいるかもしれません。

 そもそも、いくらできない子どもを責めても、それで子どもができるようになるわけではありませんよね。

 もしも、子どもがうまくできないとしたら、それはやり方が間違っているからかもしれません。親の言い方や伝え方が悪かったのかもしれませんし、何かの教材を使っているなら、その教材がお子さんには合っていないのかもしれません。

 あるいは、子どもの発達度合いに合っていないとか、子どもが興味を感じないことを無理やり押し付けているのかもしれません。

 仮に今のやり方で子どもができないなら、できるようになる方法を考えなければいけないし、むしろわかるような教え方をしていない親や教師が悪いということです。

 ですから、親ができない子どもに怒りをぶつけるのは、愚の骨頂といえます。