2023年の首都圏中学入試の受験者総数は過去最高を記録した。開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕、武蔵、海城……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。VAMOS代表の富永雄輔氏は、最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』で、子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」を提唱し、圧倒的な支持を集めている。本稿では、富永氏が登壇したセミナー(2023年6月2日開催)で、参加者から出た質問への回答を紹介する。
Q. すぐに集中力が切れて、勉強が続かない。どうすればいいのか?
質問者:小学校低学年の子どもを持つ保護者
――うちの子どもは、家で自分から机に向かうことが全くありません。もっと集中力を持ってもらうためには、どうしたらいいですか?
富永雄輔(以下、富永):まずは、お子さんには本当に集中力がないのか、客観的な視点で見ることも重要かと思います。
低学年の子どもの場合、普通は20分も30分も勉強することはできません。5分や10分が集中力の限界だと思ってください。
「うちの子は全然集中力がなくて……」と相談される保護者のお子さんでも、実は周りと比べれば、十分に集中して勉強できているケースがあります。
もしすでに塾に通っていらっしゃるのであれば、塾の先生に聞いてみてください。学校の先生に聞く機会があれば、聞いてみるのもいいと思います。
先生たちは、毎年毎年、数多くの子どもを見ているので、周りの子どもと比較した際の客観的な意見をくれるはずです。
無理に机に向かわせて、子どもを勉強嫌いにさせていませんか?
富永:家庭での勉強で大事なことは、「子どもを勉強嫌いにさせない」ことだと思います。
一度嫌いになったものを好きにさせるのは非常に大変で、後から苦労することになります。
5分か10分が集中力の限界なのに、無理に机に向かわせ続けて、拒否反応で勉強嫌いになってしまっては元も子もありません。
5分が限界なら、1日の中のスケジュールに「5分の勉強」を組み込んでしまうのがいいでしょう。
特に低学年の保護者に対して私は、「歯磨き、トイレ、5分の勉強」とよく伝えています。
勉強を嫌いと感じる前に「勉強を生活の一部」として、歯磨きやトイレと同じくらい当たり前のものにしてしまいましょう。