那覇基地内の高台に残る、沖縄県唯一の旧海軍砲台

 そんなわけで、基地内の低いところは草刈りをしてきれいになっていますが、基地内の丘の上には草が生えています。

「ちょっと上りますよ~」と連れて行っていただいたのは、基地内の高台に残る、旧日本海軍の砲台。1943(昭和18)年、海軍施設山根部隊が施行・整備した、15糎(cm)水上砲台6基のうちの1基で、旧日本海軍が使用した砲台のうち、沖縄県内に唯一残っているものだそうです。

那覇基地内の高台に残る、旧日本海軍の砲台那覇基地内の高台に残る、旧日本海軍の砲台 Photo:Diamond

 1945(昭和20)年春に米軍が沖縄に上陸した際には、この砲台で米海軍巡洋艦1隻を撃沈したそう。しかし米軍の砲爆撃で、5基は原形をとどめないほどに破壊されてしまいました。6基中、1基だけ残っているのが、この砲台です。かなりしっかり形が残っており、第二次世界大戦のころの砲台って、こんなにシンプルというか、直線的な形だったのか……と、しみじみ見入ってしまいました。

 砲台のすぐ近くに「同期の桜」という石碑があります。戦争末期、学徒出陣して海軍の戦闘機乗りになった学生パイロットが多数いました。特攻の命令を受けて飛び立っていった人もいれば、待機しているうちに終戦を迎えた学生もいました。そうして生き残ることができた人たちによる石碑なのだそうです。

「同期の桜」石碑「同期の桜」石碑。茶道「裏千家」の前家元、大宗匠・千玄室さんは特攻隊員として生き残った一人で、この石碑の前で定期的に茶会を開き、献花しているそうです Photo:Diamond

 基地内にこんな戦争遺跡があるとは、と驚きました。この砲台と石碑は、那覇基地の見学ツアーを申し込むと見られるそうなので、興味がある方はぜひどうぞ。