ディズニー、MLB、サッカー…
エンタメの「富裕層シフト」はどんどん続くだろう

 これら3つの微妙な要因を考慮した場合、需要と供給で考えれば経済学的にはディズニーが世界のパークの価格をさらに値上げすることはまだ正しい戦略だという結論になります。

 実はこの現象、広くスポーツやエンタメの世界でも当てはまる経済現象でもあります。先日、MLBで大谷翔平選手が所属するドジャースがワールドシリーズを制覇しました。そしてドジャースの試合のチケットはシーズンを通じて高騰していきました。

 リアルなスタジアムでの観戦の価格は、需要が増えれば価格はどんどん上がります。なぜならスタジアムのキャパシティという供給数に上限があるので、普通のモノの価格よりも上がり方は早いのです。グローバル市場で見ればMLBよりもさらに経済価値が高いのがサッカーです。

 この経済学の方程式に基づけば、いずれディズニーのパークも、MLBの人気チームの入場券も、サッカー日本代表の試合も、すべてが富裕層にフォーカスした高価格へとシフトして、庶民の手には入らないものになってしまいそうです。

 一方で、社会学的な考察から見ればこの富裕層を頼りにした値上げ現象は社会の在り方として正しいのでしょうか?

 実は、ディズニーが庶民の顧客を見捨てることは絶対にありません。後編『ディズニーが「パークチケット」を値上げしても「ディズニー+」は値上げしない深いワケ』ではディズニーの賢すぎる「企業戦略」について深掘りしていきます。