需給の考え方では
これまでの値上げは「正しい戦略」だった

 最初に、経済学の視点から検証してみます。

 エコノミストがそう考えているように、仮にディズニーが世界各地のディズニーリゾートの価格戦略を富裕層にフォーカスして設定しているとしたら、その戦略は経済学的に正しいのでしょうか?

 この問題を考察するために使える経済学のツールは、需要供給曲線の考え方です。

 需要供給曲線の考え方では、価格を上げれば需要が減っていきます。逆に価格を下げれば供給が減ります。その均衡点で経済的に最適な価格が神の手で決まります。

 ディズニーリゾートで言えば、値上げをしても来園客が減らないうちはまだ価格は最適ではありません。同時に値上げをすることで供給を増やせる、つまり新しいエリアやアトラクションを建設できるようになります。

 これまでコロナ禍の影響を除いて考えれば、ディズニーリゾートは値上げをしても入園者が増えてきたので、需給の考え方としては値上げは経済的に正しかったといえます。

こんなん、高すぎて行けないよ!ディズニーの「富裕層シフト」は正しい戦略なのか?
2011年から2023年にかけて、ドルで見た場合と円で見た場合で東京ディズニーリゾートのパスポートの価格がどう変化しているのかをグラフにしてみました。赤色の「ドル価格」は為替の影響でジグザグと上下に推移しているものの、青色の「円価格」で見ると右肩上がりに推移しています 拡大画像表示